意思能力が十分なうちに、本人が望む人と財産管理や身上管理について、任意後見契約を結び、本人の判断能力が低下したとき、家庭裁判所に任意後見監督人の選任申立をし、任意後見監督人の選任により、任意後見契約の効力が発生する契約です。

 メリット

① 本人が望む人に後見人になってもらえます。

② 任意後見人には、法定成年後見人と同様に、本人の財産管理義務と身上監護義務があります。

③ 任意後見人の仕事は、家庭裁判所が選任した任意後見監督人にチェックされます。

④ 任意後見契約で、判断能力が低下した後の生活を指定できます。

 ・入院するときは○○病院で、一人部屋がいい。

 ・施設は、家に近い○○ホームがいい。

⑤ 元気なうちから、「財産管理委任契約」を結び、信頼できる第三者に財産管理を任せることもできます。(移行型任意後見契約)

⑥ 亡くなった後の葬儀・お墓・寺への供養等の委任にもできます。(死後事務委任契約と併用)

⑦ 後見契約は、法務局に登記されるので、任意後見人の地位が公的に証明されます。

 デメリット

① 法定成年後見人と異なり、「取消権」がありません。

② 任意後見人や任意後見監督人に対する報酬が発生します。

③ 任意後見契約書は、公正証書で作成する必要があります。

④ 家族でない人と任意後見契約を結んだ場合、本人の判断低下の有無の判断が不十分になるおそれがあります。

⑤ 近親者と任意後見契約を結んだ場合、利害が対立すると本人が判断能力が低下しても、後見監督人の選任申立をせず、任意後見契約が発

 効しないおそれがあります。 

⑥ 後見監督人に定期的に報告書を提出しなくてはなりません。